※関連法令が随時改正されています。最新情報と合わせてご覧ください。

※2020(R2)年 所得税確定申告の改正
→基礎控除額引き上げ(配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除の合計所得金額の要件が現行の38万円 →48万円以下に) および 給与所得控除の10万円引き下げ。所得が給与所得だけの場合、その年の給与収入が103万円以下であれば夫が配偶者控除を受けられるという基準は変わりません。

参考記事:令和2年分所得税確定申告の主な改正点や注意点(R3.1月号掲載)

※2017(H29) 年度 税制改正
→2018(H30)年1月より、配偶者の給与収入の上限が150万円に引き上げ。ただし、税とは別分野で、社会保険上の壁(一般に130万円、一定の要件を満たす場合は106万円)を超えると妻は夫の社会保険の被扶養者から外れ、妻自身も社会保険料等(健康保険料・年金保険料等)を負担することになりますのでご注意ください。

参考記事:配偶者控除・配偶者特別控除の見直し (H30.5月号掲載)


Q 夫の扶養から外れない範囲でパートやアルバイトで働こうと考えています。なるべく税金の負担を抑えたいのですが、どのような点に注意すればよいでしょうか。

A 妻側でのパート代やアルバイト代にかかる所得税と、夫側で適用される配偶者控除・配偶者特別控除それぞれ、年間のパート収入額が影響します。

パートの妻の場合、年間103万円以下であれば所得税がかかりません。また、年収が150万円以下であれば、夫の所得において最大38万円の所得控除を受けることができますし、150万円を超えたとしても、妻の年収201万円までは段階的に配偶者特別控除が適用されます。ただし、夫の年収によって配偶者特別控除の適用範囲と金額が変わることに注意が必要です。

解説

①103万円の壁 ~妻の所得税が発生しないライン~

夫の扶養に入っているパートの妻の場合、年収103万円以下は妻の所得税が発生しないラインになります。

よって、”103万円の壁”は、妻本人のパート収入に対する所得税のボーダーラインを指していることになります。

②150万円の壁 ~夫に配偶者特別控除が満額適用されるライン~

夫の所得において最大38万円の所得控除が受けられるラインです。

2018年までは、満額の配偶者控除が適用されるのは妻の年収上限が103万円以下の場合でしたが、2018年の改正により現在は配偶者特別控除が満額受けられる妻の年収は150万円まで引き上げられています。(ただし夫の所得制限があります)そのため、妻が扶養に入りながら働く場合は、年収150万円までは夫の税制上の優遇は変わりません。

配偶者控除とは
納税者に所得税法上の控除対象配偶者がいる場合に一定金額の所得控除が受けられることです。

配偶者特別控除とは
配偶者に48万円(令和元年分以前は38万円)を超える所得があるため配偶者控除の適用が受けられないときでも、配偶者の所得金額に応じて一定の金額の所得控除が受けられることをいいます。妻の給与所得が条件以下(パートやアルバイト年収が150万円以下)であれば、夫に満額の所得控除が適用されることになります。

ただし、配偶者控除・配偶者特別控除を受けるには夫の所得制限があります。

例えば、妻のパート収入が140万円の場合
・夫の合計所得金額が900万円以下(給与収入1,095万円以下)の場合は控除額が38万円
・900万円超950万円以下(給与収入1,095万円以上1,145万円以下)の場合は26万円
・950万円超1,000万円以下(給与収入1,145万円以上1,195万円以下)の場合は13万円

となり、合計所得金額1,000万円超(給与収入1,195万円超)の場合は配偶者控除は受けられなくなります。妻の収入が同額であっても夫の収入によって違いが生じるのです。

まとめますと、妻の年収が150万円を超えても201.6万円までは、夫の収入と妻の収入に応じて段階的に配偶者特別控除が受けられます。ただし、夫の合計所得金額が1,000万円を超える場合には適用されません。

よって、夫婦でこれらの控除を受けようとする場合には、「年収150万円」「年収201.6万円」を意識して働く必要があります。

なお、控除額(2020年分以降)は、控除を受ける夫のその年における合計所得金額および妻の合計所得金額に応じて次の表のようになります。ご参照ください。

  控除を受ける納税者本人の合計所得金額
900万円以下 900万円超
950万円以下
950万円超
1,000万円以下









48万円超 95万円以下 38万円 26万円 13万円
95万円超 100万円以下 36万円 24万円 12万円
100万円超 105万円以下 31万円 21万円 11万円
105万円超 110万円以下 26万円 18万円 9万円
110万円超 115万円以下 21万円 14万円 7万円
115万円超 120万円以下 16万円 11万円 6万円
120万円超 125万円以下 11万円 8万円 4万円
125万円超 130万円以下 6万円 4万円 2万円
130万円超 133万円以下 3万円 2万円 1万円

※このQ&Aシリーズは、掲載された時点での法令等に基づき掲載しております。過去のQ&Aをご覧になる場合には、最新の取り扱いと異なる内容が含まれている可能性がございます。詳しくは税務の専門家である税理士にご相談ください。