Q. 会社の上半期の業績が予想以上に悪化したため、年度の途中で取引銀行からの申し出(協議の結果)もあり取締役会で役員給与の減額を決定しましたが、「業績悪化改定事由」による改定に該当しますか?
A. 経営状況の悪化に伴い、第三者である利害関係者(株主、債権者、取引先等)との関係上、役員給与の額を減額せざるを得ない事績が生じたために行ったものである場合は、業績悪化改定事由に該当するものと考えられ、定期同額給与に該当します。
解説
定期同額給与の範囲等に該当する「経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由」とは、経営状況が著しく悪化したことなどやむを得ず役員給与を減額せざるを得ない事情があることをいいますので、財務諸表の数値が相当程度悪化したことや倒産の危機に瀕したことだけではなく、経営状況の悪化に伴い、第三者である利害関係者(株主、債権者、取引先等)との関係上、役員給与の額を減額せざるを得ない事情が生じていれば、これも含まれることになります。
このため、例えば、次のような場合の減額改定は、通常、業績悪化改定事由による改定に該当することになると考えられます。
①株主との関係上、業績や財務状況の悪化についての役員としての経営上の責任から役員給与の額を減額せざるを得ない場合
②取引銀行との間で行われる借入金返済のリスケジュールの協議において、役員給与の額を減額せざるを得ない場合
③業績や財務状況又は資金繰りが悪化したため、取引先等の利害関係者からの信用を維持・確保する必要性から、経営状況の改善を図るための計画が策定され、これに役員給与の額の減額が盛り込まれた場合
上記の3事例以外の場合であっても、経営状況の悪化に伴い、第三者である利害関係者との関係上、役員給与の額を減額せざるを得ない事情があるときには、減額改定をしたことにより支給する役員給与は定期同額給与に該当すると考えられます。この場合には、役員給与の額を減額せざるを得ない客観的な事情を具体的に説明できるようにしておく必要があります。
なお、法人の一時的な資金繰りの都合や単に業績目標に達しなかったこと、業績や財務状況、資金繰りの悪化といった事実が生じていたとしても、利益調整のみを目的として減額改定を行う場合には、業績悪化改定事由に該当しません。
また、「事前確定届出給与」に係る業績悪化改定事由についても、同様の取扱いとなります。
詳しいことは、税務の専門家である税理士にご相談ください。