Q. 2024年の家族の医療費は全部で8万円かかり、市販の医薬品代が3万円かかりました。この場合、通常の医療費控除とセルフメディケーション税制、どちらの方が税額は少なくなるでしょうか?
A. ご質問者の総所得金額等が200万円以上の場合は、医療費控除を適用すると所得控除額が10,000円となり、また、セルフメディケーション税制を適用した場合は18,000円となるため、セルフメディケーション税制を適用した方が税額は少なくなります。
解説
医療費控除
医療費控除とは、その年の1月1日から12月31日までの間に自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合に、その支払った医療費が一定額を超えるときは、その医療費の額を基に計算される金額の所得控除(最高で200万円)を受けることができるもので、以下の算式で計算をします。
医療費控除の金額 =(実際に支払った医療費の合計額- ①の金額)- ②の金額
① 保険金などで補てんされる金額
② 10万円(その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額)
セルフメディケーション税制
セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)は、医療費控除の特例として、健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行う個人が、平成29年1月1日以降に、スイッチOTC医薬品(要指導医薬品及び一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品)を購入した際の購入費用について所得控除を受けることができますが、以下の2つの条件を満たす必要があります。
①1年間でOTC医薬品を1万2千円以上購入していること※
②1年間で健康診断や特定健康診査(メタボ健診)を受けていること
※OTC医薬品とは、簡単に言えば、ドラッグストアや薬局等で購入できる「医師の処方箋が必要ない薬」のことであり、そのうち、レシートにセルフメディケーション税制の対象である旨が記載されたものが対象です。
セルフメディケーション税制と通常の医療費控除との選択適用
セルフメディケーション税制は医療費控除の特例であり、通常の医療費控除と選択適用となりますので、いずれか一方を選択適用することになります。
ご質問の場合、医療費控除額は、(80,000円+30,000円)-100,000円=10,000円
セルフメディケーション税制による医療費控除額は、30,000円-12,000円=18,000円
となりますので、セルフメディケーション税制を適用した方が税額は少なくなります。
通常の医療費控除を選択して確定申告書を提出した後に、セルフメディケーション税制による医療費控除の方が有利だったと気づいても、修正申告や更正の請求により確定申告書で選択した医療費控除を変更することはできませんので、控除額のシミュレーションを行い、有利な方法を選択するようにしましょう。
詳しいことは、税務の専門家である税理士にご相談ください。
(近畿税理士会姫路支部)https://kinzeihimeji.org