Q. 相続税も電子申告が開始されたと聞きましたが、どのようなものですか?

A. 電子申告は2004年から運用開始され法人税等の申告に利用されてきました。ただし相続税の申告に関しては従来通りの書面提出による申告しか認められていませんでした。その相続税の電子申告が2019年1月1日以降に亡くなった方からできるようになりました。e-Tax(電子申告)は、税の申告や申請・届出についてインターネットを利用して電子的に手続を行うシステムです。税務署に出向く必要がないので納税者の利便性が向上し行政事務の効率化にも寄与しています。相続税についてもようやく電子申告がはじまった事で納税者の利便性は向上していくと言えます。

1.電子申告の方法と注意点

相続税の電子申告にも押印が不要になり、戸籍謄本などの法定添付書類もイメージデータ(PDF形式)で送信する事ができます。申告等データの送信時に、当該データとイメージデータを同時に送信する方式(同時送信方式)申告等データの送信後に受信通知から追加で送信する方式(追加送信方式)があります。

税理士等が代理送信を行う場合は、1回の送信につき最大9名分までの財産取得者の申告をまとめて行うことができます。納税者本人が送信を行う場合は、本人以外の財産取得者の申告をまとめて行うことはできませんので、財産取得者ごとに申告書を提出(送信)します。また、申告等データについては、住所・氏名や金額等の相続税の申告に必要な事項に加え、申告書第1表又は第1表(続)に利用者識別番号(*注1)の入力がある財産取得者のデータを有効なものとして受付することになります。したがって、複数の財産取得者の申告をまとめて代理送信した場合であっても、申告書第1表又は第1表(続)に利用者識別番号の入力がない財産取得者については、相続税の申告書を提出したことにならないので注意が必要です。

(*注1)利用者識別番号とは、電子申告をするために必要な16桁の識別番号です。

2.普及率と今後の見通し

所得税や法人税等の電子申告普及率は60~90%と高いのに対し、相続税のe-tax利用率は15.4%(2020年度)とまだまだ低いようですが、これからさらに運用方法が見直され使いやすくなっていくでしょうから利用率も伸びていくものと思われます。

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