Q 息子がマイホームを建てることになったので支援したいと思います。贈与税がかからない支援の方法があるとお聞きしました。また、この制度の内容と通常の110万円までの基礎控除の制度や相続時精算課税の制度との関係はどうなっているのでしょうか。

住宅取得等資金の贈与の特例のことですね。この特例を使えば、父母や祖父母などから住宅取得資金の贈与を受けた場合、例えば平成31年4月に消費税8%で住宅を取得したのであれば700万円(良質な住宅用家屋であれば1,200万円)まで非課税となります。

この特例は110万円の基礎控除または相続時精算課税制度(特別控除2,500万円)のどちらかと併用して利用することができます。110万円の基礎控除と併用する場合は、810万円(良質な住宅用家屋であれば1,310万円)、相続時精算課税制度と併用する場合は、3,200万円(良質な住居用家屋であれば3,700万円)まで贈与税は課税されません。

※相続時精算課税制度は、贈与者が亡くなった時の相続税の計算上、相続財産の価額に相続時精算課税を適用した贈与財産の価額を加算して相続税額を計算します。

【解説】
平成27年1月1日から平成33(2021)年12月31日までの間に、直系尊属(父母や祖父母等)から贈与により、自己の居住の用に供する住宅用家屋の新築・取得又は増改築等(以下、「新築等」といいます。)に充てるための金銭(以下「住宅取得等資金」といいます。)の取得をした場合において、一定の要件を満たすときは、非課税限度額までの金額について贈与税の課税価額に算入されません。

(1)非課税限度額

契約日 消費税10%適用される者 消費税8%適用される者
良質な
住宅用家屋
左記以外の
住宅用家屋
良質な
住宅用家屋
左記以外の
住宅用家屋
平成31年4月1日~平成32年3月31日(2020年) 3,000万円 2,500万円 1,200万円 700万円
平成32年4月1日(2020年)~平成33年3月31日(2021年) 1,500万円 1,000万円 1,000万円 500万円
平成33年4月1日(2021年)~平成33年12月31日(2021年) 1,200万円 700万円 800万円 300万円

(2)上記良質な住宅用家屋とは次のものをいいます。

①省エネルギー性の高い住宅(断熱等性能等級4又は一次エネルギー消費量等級4以上)
②耐震性の高い住宅(耐震等級2以上又は免震建築物)
③バリアフリー性の高い住宅(高齢者等配慮対策等級3以上)
のいずれかの性能を満たす住宅であることにつき証明がされたもの

(3)受贈者の主な要件

①贈与を受けた時に受贈者が日本国内に住所を有していること。
②贈与を受けた時に贈与者の直系卑属(贈与者は受贈者の直系尊属)であること。
(注)養子縁組している場合の養親は直系尊属に当たります。
③贈与を受けた年の1月1日において20歳以上であること。
④贈与を受けた年の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下であること。
⑤贈与を受けた年の翌年3月15日までに、住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築等をすること。

なお、住宅取得等資金の贈与の特例を利用する場合、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、特例を適用する旨の記載をした贈与税の申告書に一定の書類を添付して、納税地の税務署へ提出する必要があります。

※平成31年分以降の元号の表示につきましては、便宜上、平成を使用するとともに西暦を併記しております。また、上記解説は平成30年4月1日現在法令等により作成しております。

詳しいことは税務の専門家である税理士にご相談ください。