Q ふるさと納税という言葉を頻繁に雑誌やメディアで聞くようになりました。今年から企業版のふるさと納税が始まったそうですが、個人が行うふるさと納税との違いは何ですか。

A 平成28年4月20日から施行された企業版ふるさと納税制度は「法人」が行うふるさと納税で、個人向けのふるさと納税とは寄付をする対象やその内容等が異なってきます。

【解説】
ふるさと納税とは、納税者が自ら納税する自治体を選択できるという意味で「納税」という名前がついていますが、実際には都道府県、市区町村への寄付です。雑誌やメディアでお得な返戻品があると数多く紹介されているため、寄付をしたらその地方の特産品等がもらえる制度と理解している方が多いかと思います。ところが、企業版ふるさと納税制度では、原則として寄付を受けた地方公共団体が寄付を行った法人に対して特産品を送ることや補助金を交付することその他経済的利益の供与等を行うことが禁止されています。このため、名称は似ていても個人向けのふるさと納税とは全く異なる制度であることに注意する必要があります。

企業版ふるさと納税制度は、地方自治体が企画する地方創生プロジェクトを企業が寄付という形で支援するというもので地方創生応援税制といい、個人が行うふるさと納税制度と比較できるように以下にまとめましたので、参考にして下さい。

(1)個人のふるさと納税制度

① 目的   ⇒ 故郷を大切に思い応援したい心の育成等
② 寄付者  ⇒ 個人
③ 寄付先  ⇒ 制限なし
④ 自己負担 ⇒ 最低2,000円
⑤ 寄付使途 ⇒ 地方自治体が自由に活用
⑥ 返戻等  ⇒ 特産品PR等の返戻品贈呈が定着

(2)企業版ふるさと納税制度

① 目的   ⇒ 企業による地方創生の取組への貢献等
② 寄付者  ⇒ 青色申告書を提出する法人
③ 寄付先  ⇒ 本社所在地以外のその他一定の地方自治体
④ 自己負担 ⇒ 寄付金額の約4割
⑤ 寄付使途 ⇒ 地域再生計画のうち内閣府の認定を受けた事業に限定
⑥ 返戻等  ⇒ 原則なし

※寄付の対象となる事業が決まらないことには寄付先がないため、第1弾の内閣府の認定として本年度の8月頃を予定しています。

企業側のメリット
税負担の軽減効果が普通の寄付に比べて約2倍になること、企業の事業分野に関連する地方創生プロジェクトに寄付を行うことができること、また、社会貢献による企業イメージのアップに繋がるという点です。

詳しいことは、税務の専門家である税理士にご相談ください。

「姫路商工会議所報」H28.9号掲載