Q 今まで月極駐車場として貸していた土地の周辺で、住宅需要が増えてきたため賃貸アパートを建設しようと考えています。 賃貸住宅を建設すると相続税負担が減少するそうですが、本当に相続税が減るのでしょうか
A 賃貸物件を建設した場合、貸家の敷地の用に供されたということで土地の評価額が低くなり、金融資産から固定資産税評価額で評価される家屋への資産の組換えが行われ、結果として相続税は少なくなります。
【解説】
(1)土地の評価減
ある土地にアパートを建てると、その土地は貸家建付地として評価され、自用地と比較した場合に評価額が低くなります。下記の算式の通り借地権割合(地域によって異なり、姫路市内の場合、50%か60%の地域が多い)に借家権割合(兵庫県の平成29年分は30%)と賃貸割合を乗じた金額分を差し引くことができるためです。
○貸家建付地=自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
(2)金融資産から家屋への資産組換え
自己資金で賃貸アパート等を建設することにより、預金等の金融資産から、家屋への資産の組換えを行うことができます。家屋の評価は、固定資産税評価額を基にします。標準的な建築費総額に比べて固定資産税評価額は6割程度であり、さらに借家権割合を差し引くこともできるため、金融資産のまま所有しているよりも相続税課税財産が少なくなります。
○貸家の評価額=固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)
(3)短期間での相続税対策
賃貸住宅を建設する際に金融機関から借入れを行うと、借入金を債務として控除することができます。短期間で比較的多額の金額をマイナスの財産として計上することが可能となるため、即効性のある相続税対策として利用されています。この場合の注意点として、賃貸住宅を借入金で建設する際には、相続税対策だけでなく将来にわたる借入金の返済が可能であるのかも含めた綿密な計画が必要です。
(4)相続税対策の必要性
相続税は、亡くなられたすべての方に課税される税金ではありません。財産から債務を控除した金額が一定額(基礎控除額)以上である方に課税される税金です。相続税対策の第一歩は、自分自身のすべての財産及び債務を把握し、相続税が課税されるかどうかを認識するところから始まります。そして相続税が課税されるとわかった場合には、相続税を少なくするために相続税対策を検討しても良いのかもしれません。
詳しいことは、税務の専門家である税理士にご相談ください。