Q. 消費税の申告において、対価を得ない取引に対して、消費税の対象とみなされる場合があると
聞きました。どういうことでしょうか?
A. 消費税は、課税資産の譲渡等の対価の額が課税標準となります。例外として、対価を得ない取
引に対して、対価を得て行う資産の譲渡とみなして課税される場合と一定の取引でその対価の額
が時価に比べて著しく低い場合には、その時価を対価の額とみなして課税されます。
解説
1.個人事業者の自家消費
個人事業者の自家消費とは、個人事業者が棚卸資産または棚卸資産以外の資産で事業用に使用
していたものを家事のために消費または使用することです。個人事業者が自家消費を行った場合
は、その資産を消費または使用した時のその資産の価額(時価)に相当する金額を課税標準とし
て消費税が課税されます。ただし、棚卸資産を自家消費した場合は、その棚卸資産の仕入価額以
上の金額、かつ、通常他に販売する価額のおおむね50パーセントに相当する金額以上の金額を対
価の額として確定申告したときはその取扱いが認められています。
2.法人が資産をその役員に対して贈与した場合
法人が資産をその役員に対して贈与した場合は、その資産を贈与した時のその資産の価額(時
価)に相当する金額を課税標準として消費税が課税されます。ただし、棚卸資産を贈与した場合
において、その棚卸資産の仕入価額以上の金額、かつ、通常他に販売する価額のおおむね50パー
セントに相当する金額以上の金額を対価の額として確定申告したときはその取扱いが認められて
います。
3.法人が資産をその役員に対して低額譲渡した場合
法人が資産をその役員に対してその資産の価額に比べて著しく低い金額により譲渡した場合は
、実際に役員から受領した金額ではなく、その資産を譲渡した時のその資産の価額(時価)に相
当する金額を課税標準として消費税が課税されます。この場合の、その資産の価額に比べて著し
く低い金額により譲渡した場合とは、その資産の時価のおおむね50パーセントに相当する金額に
満たない金額により譲渡した場合をいいます。なお、その譲渡した資産が棚卸資産である場合で
、その棚卸資産の譲渡金額が、その資産の仕入価額以上の金額で、かつ、通常他に販売する価額
のおおむね50パーセントに相当する金額以上の金額であるときは、著しく低い金額により譲渡し
た場合には該当しないものとして取り扱われます。
詳しいことは、税務の専門家である税理士にご相談ください。