Q 役員や使用人の給与計算で給与として課税されるものにはどのようなものがありますか?

A 通勤手当の非課税限度額を超えた金額や現物給与として課税されるものがあります。この場合の課税とは、給与として所得税等の対象となるという意味です。

【解説】
役員や使用人に支給する手当は、原則として給与となります。具体的には、残業手当や休日出勤手当、職務手当等のほか、地域手当、家族(扶養)手当、住宅手当なども給与となります。これら以外にも、例えば下記のようなものが、給与として課税されます。

1 通勤手当のうち非課税限度額を超えた金額
電車やバスだけで通勤している場合の非課税となる限度額は、通勤のための運賃、時間、距離等の事情に照らして、最も経済的かつ合理的な経路及び方法で通勤した場合の定期券などの金額です。(1か月当たりの最高限度額は150,000円)

マイカー・自転車通勤者の非課税となる1か月当たりの限度額は、片道の通勤距離に応じて次のように定められています(平成26年4月1日以降)。

マイカーなどで通勤している人の非課税となる1か月あたりの限度額の表
       片道の通勤距離    1か月当たりの限度額
2キロメートル未満              (全額課税)
2キロメートル以上10キロメートル未満               4,200円
10キロメートル以上15キロメートル未満               7,100円
15キロメートル以上25キロメートル未満              12,900円
25キロメートル以上35キロメートル未満              18,700円
35キロメートル以上45キロメートル未満              24,400円
45キロメートル以上55キロメートル未満              28,000円
55キロメートル以上              31,600円

 

1か月当たりの非課税となる限度額を超える部分の金額は給与として課税されます。なお、非課税の通勤手当として取り扱われるためには、通常の給与に加算して支給することが要件とされていますので、基本給やその他の手当とは明確に区分し、給与明細書等に通勤手当等と明示して支給する必要があります。

※電車やバスなどのほかにマイカー・自転車なども使って通勤している場合の非課税となる限度額には、別途計算方法があります。

2 現物給与
給与は、金銭で支給されるのが普通ですが、食事の現物支給や商品の値引き販売などのように次に掲げるような物又は権利その他の経済的利益をもって支給されることがあります。

(1)物品その他の資産を無償又は低い価額により譲渡したことによる経済的利益
(2)土地、家屋、金銭その他の資産を無償又は低い対価により貸し付けたことによる経済的利益
(3)福利厚生施設の利用など(2)以外の用役を無償又は低い対価により提供したことによる経済的利益
(4)個人的債務を免除又は負担したことによる経済的利益

これらの経済的利益を一般的に現物給与といい、原則として給与所得の収入金額とされますが、現物給与には①職務の性質上欠くことのできないもので主として使用者側の業務遂行上の必要から支給されるもの、②換金性に欠けるもの、③その評価が困難なもの、④受給者側に物品などの選択の余地がないものなど、金銭給与と異なる性質があるため、特定の現物給与については、課税上金銭給与とは異なった取り扱いが定められています。

たとえば食事を支給した場合では、次の二つの要件を満たしていれば、給与として課税されません。

(1)役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること。
(2)次の金額が1か月当たり3,500円(税抜き)以下であること。
  (食事の価額)-(役員や使用人が負担している金額)

この要件を満たしていなければ、食事の価額から役員や使用人の負担している金額を差し引いた金額が給与として課税されます。

詳しいことは税務の専門家である税理士にご相談ください。