Q. 還付される所得税額がなくても医療費控除を申告する意味はありますか?

A. 住民税を納めている人や保育料を支払っている人は医療費控除の申告をした方が良い場合があります。

解説

「年末調整で所得税の源泉徴収税額が0円になる場合に、還ってくる税金がないのに医療費控除を申告する意味はありますか?」という質問を受けることがあります。所得税が0円になる人の多くは以下の場合が多いかと思われます。

1  年末調整で住宅ローン控除の適用を受けている場合

①の場合、所得税は0円でも住民税は課税されている場合が多いと思います。住宅ローン控除適用前の所得金額で住民税が計算されているからです。その年の源泉徴収税額が0円なので所得税は当然のことながら還ってきません。しかし住民税を納めている方や保育料を支払われている方は、医療費控除の適用を受けるために確定申告をすることで住民税や保育料を抑えることができる場合があります。

2  年収が103万円以下の場合

②の場合は、給与所得控除後の金額が所得税の基礎控除48万円以下となるので所得税は0円となります。一方、姫路市の場合は住民税の非課税限度額が45万円のため給与収入が100万円超あれば住民税はかかります。給与収入が100万円超103万円以下の人は住民税の計算で医療費控除を申告することで課税される所得金額が少なくなり納める住民税額は減少します。
また医療費控除の適用額は「実際に支払った医療費合計額−総所得金額の5%と10万円のいずれか低い金額」で計算されるため、総所得金額が200万円以下の人は医療費の総額が10万円以下であっても医療費控除の適用を受けることができます。

また保育所、認定こども園等を利用する3歳から5歳までの子どもの保育料は令和元年10月1日から無償化されていますが、0歳から2歳までの子どもを持つ住民税非課税世帯の場合も無償化の対象となります。
住民税も保育料も課税される所得金額により決定されます。そのため医療費控除の申告をすることで課税される所得金額が低くなり、税金や保育料を抑えることができる場合がありますので、還付される所得税額がない場合でも医療費控除の適用の検討をしてみてはいかがでしょうか。


 詳しいことは、税務の専門家である税理士にご相談ください。(近畿税理士会 姫路支部)