Q 所得税から控除できる税額控除制度にはどのようなものがありますか?

A 所得税の税額控除とは、個人の所得(利益)から各種所得控除(医療費控除・生命保険料控除・配偶者控除など)を差し引いた金額に税率をかけて算出された所得税から、一定の金額を控除するものをいいます。

解説

以下、税額控除で主なものを紹介します。

1.配当金を受け取ったとき(配当控除)

株の配当金を受け取った場合等、配当所得があるときは、確定申告で総合課税を選択することにより、原則として配当所得の10%または5%を所得税から控除できます。ただし申告分離課税を選択した上場株式等の配当所得については、配当控除は適用できません。

2.寄付金を支払ったとき(寄付金特別控除)

下記のいずれかの寄附金を支払った場合は、寄附金控除(所得控除)の適用を受ける場合を除き、一定額を所得税から控除できます。

①政党または政治資金団体に対する政治活動に関する一定の寄付金
②認定NPO法人等に対する一定の寄付金
③公益社団法人及び公益財団法人、社会福祉法人、学校法人などに対する寄付金

3.マイホームを取得等したとき(住宅ローン控除)

個人が住宅ローン等を利用してマイホームの新築等をした場合で、一定の要件を満たすときは、住宅ローン等の年末残高の1%相当額を10年間、所得税から控除できます。(限度額・所得制限あり)もし所得税から控除しきれない金額がある場合は、一定の限度額の範囲内で、住民税から控除されます。

また、消費税率の引き上げにより、消費税率10%でマイホームを取得した場合(2019年10月1日~2020年12月31日までの間に入居した場合に限る)には、消費税率2%分の負担を考慮し、控除期間が3年間延長されます。(10年間→13年間)

11年目以降の3年間は、各年において次のいずれか少ない金額を所得税から控除します。

  • 建物購入価格(税抜)×2%÷3年
  • 住宅ローン等の年末残高の1%

※1年目から10年目までの計算は今まで通りです。

4.前年より賃上げしたとき(所得拡大促進税制)

青色申告書を提出している個人事業者(常時使用する従業員数が1,000人以下の者)が、国内雇用者に対する給与の支給額を前年分より増加させた場合で、一定の要件を満たすときは、その増加額の一部(通常で15%・上乗せの要件を満たした場合は25%)を所得税から控除できます。ただし控除額は所得税の20%が上限となります。この制度は、令和元年から令和3年までの所得税について適用されます。

5.経営力向上設備等を取得したとき(中小企業経営強化税制)

青色申告書を提出している個人事業者(常時使用する従業員数が1,000人以下の者)が、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づき、新品の一定の機械・備品・ソフトウェアなどを、令和3年3月末までに取得して一定の事業に使用した場合、取得価額の10%を所得税から控除できます。ただし控除額は所得税額の20%が上限となります。

以上5つの税額控除を紹介しました。上記以外にも税額控除制度が存在しますが、紙面の都合上割愛します。

詳しいことは税務の専門家である税理士にご相談ください。