Q 私は、青色申告をしている個人事業者ですが、平成30年分の所得税の確定申告の準備をしていた3月初旬に、田舎で一人暮らしの父親がくも膜下出血で倒れてしまいました。すぐに駆け付け介護を続けていたのですが、その甲斐もなく3月末に他界してしまいました。この間ばたばたしてしまったため、私自身の確定申告をするのを忘れていました。初めてのことなのでどうすればよいのでしょうか。また何かペナルティはあるのでしょうか。

法定申告期限までに確定申告をしないと、無申告加算税が課される場合があります。その概要について解説します。

【解説】
所得税法では毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得について、翌年2月16日から3月15日までの間に確定申告を行い、所得税を納付することになっています。期限内に確定申告を忘れた場合でも、自分で気が付いたらできるだけ早く申告するようにしてください。この場合は、期限後申告として取り扱われます。

また、期限後申告をしたり、所得金額の決定を受けたりすると、申告等によって納める税金のほかに無申告加算税が課されます。

ただし、期限後申告であっても、次の要件を全て満たす場合には無申告加算税は課されません。

1 その期限後申告が、法定申告期限から1月以内に自主的に行われていること。

2 期限内申告をする意思があったと認められる次のいずれにも該当すること。
⑴ その期限後申告に係る納付すべき税額の全額を法定納期限(口座振替納付の手続 をした場合は期限後申告書を提出した日)までに納付していること。

⑵ その期限後申告書を提出した日の前日から起算して5年前までの間に、無申告加算税又は重加算税を課されたことがなく、かつ、期限内申告をする意思があったと認められる場合の無申告加算税の不適用を受けていないこと。

いずれにしても、税務署から指摘を受ける前に(法定申告期限の1月以内の4月15日までに)自主的に期限後申告をしてください。

ただし、65万円の青色申告特別控除の適用が可能な場合であっても、期限後申告の場合は、青色申告特別控除額は10万円になります。また、父親の看病のために法定申告期限までに申告ができなかったとしても、そのことをもって無申告加算税が免除される正当な理由あるいはやむを得ない事情があったとは認められないと思います。

なお、期限後申告によって納める税金は、申告書を提出した日が納期限となりますので、その日に納めてください。場合によっては、納付の日までの延滞税を併せて納付する必要があります。


(参考) 無申告加算税の割合

各年分の無申告加算税は、原則として、納付すべき税額に対して、50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合を乗じて計算した金額となります。

なお、税務署の調査を受ける前に自主的に期限後申告をした場合には、この無申告加算税が5%に軽減されます。(ただし、調査の事前通知の後にした場合は、50万円までは10%、50万円を超える部分は15%の割合を乗じた金額となります。)

詳しいことは税務の専門家である税理士にご相談ください。