Q 医療費が年間10万円以下だと医療費控除は適用できないと思っていましたが、来年の平成29年からは年間10万円以下でも医療費控除が適用できるというのは本当でしょうか?
A 平成28年度の税制改正により、平成29年1月1日より健康の維持増進や疾病予防のために健康診断等を受けている人が、特定の成分を含んだOTC医薬品の年間購入金額が年間12,000円を超えている場合に医療費控除が適用できるようになりました。 OTC医薬品は、厚生労働省のホームページで公表されており、ガスター10などがOTC医薬品に該当します。
【解説】
医療費控除について
1.平成28年分まで(平成29年3月15日申告分まで)の取扱い
医療費控除とは、1年間(1月1日~12月31日)に本人又は本人と同居する親族のために医療費を本人が支払った場合において、その支払った金額(注1)が一定の金額(注2)を超えているときに、確定申告することによって、その超えている部分の金額(上限:200万円)の所得控除を受けることをいいます。
(注1) | 入院費給付金や高額療養費や出産育児給付金の給付を受けている場合は、支払った医療費の金額からこれらの給付を受けた金額を差し引いた残りの金額が対象となります。 |
(注2) | 10万円(ただし、所得金額が200万円以下の人は所得金額の5%) |
2.平成29年分以後の取扱い
従来からの医療費控除か、新設された医療費控除の特例のどちらか一方を受けることができます。
(1)医療費控除
上記1と同様
(2)医療費控除の特例
医療費控除の特例とは、1年間(1月1日~12月31日)に健康の維持増進及び疾病の予防への取組を行う本人又は本人と同居する親族のために特定の成分を含んだOTC医薬品の購入代金を本人が支払った場合において、その支払った金額が12,000円を超えているときに、確定申告をすることによって、その超えている部分の金額(上限:88,000円)の所得控除を受けることをいいます。
上記(1)と(2)の共通点は下記の通りとなります。
支払った医療費は、本人及び本人と同居する親族にかかるものが対象。
支払った医療費からは、その医療費を補てんする保険金を除く。
支払った医療費から一定の金額を差し引いた残りの金額が医療費控除の対象。
医療費控除を受けるためには、確定申告が必要。
上記(1)と(2)の相違点は下記の通りとなります。
医療費控除 | 医療費控除の特例 | |
対象となる医療費 | 治療・療養全般 | 健康維持・疾病予防のための OTC医薬品に限定 |
医療費から差し引く一定の金額 | 10万円(注2) | 1.2万円 |
控除金額の上限 | 200万円 | 8.8万円 |
よって、「医療費控除の特例」による控除金額の上限が88,000円であることから、1年間の医療費の合計金額が188,000円(=控除金額88,000万円+医療費から差し引く一定の金額10万円)を超える場合は「医療費控除 の適用が有利となりますが、1年間の医療費の合計金額が188,000円以下の場合はどちらが有利になるのかを検討する必要があります。
詳しいことは、税務の専門家である税理士にご相談ください