Q 私は個人事業主です。日常的に、売上と経費の記帳処理はおこなっていますが、決算処理で何をどうすれば良いか分かりません。

A 日常の経理処理をしっかり行っていれば、大丈夫です。日常処理に年一回の決算処理を加えるだけです。

【解説】
3月になり、個人事業主の確定申告もいよいよ大詰めになってきました。 そんな中、決算で悩まれる方が多いと思います。しかし、普段から経理処理をしっかり行っていれば、そこまで悩まれることはありません。 今回は、個人事業主が決算処理で行う代表的な項目について、いくつか解説します。

1.現金及び現金同等物

12月末時点で手元にある現金を数えて下さい。一万円札がX枚、千円札がX枚、百円玉がX枚・・・・・。 これを集計した金額が年末時点の現金残高になります。この金額が帳簿残高と異なっていれば、原因を追究して下さい。現金売上の計上漏れや経費の処理漏れなどが考えられます。それでも原因不明の場合は、その差額を雑損益に振り替えることにより、手許現金と帳簿上の金額を合わせてください。 なお、現金をチェックする際には小切手や受取手形の残高も確認してください。 これらは年一回というより、定期的な日常処理に近いものと思います。

2.預貯金

12月末時点の口座残高を確定するため、通帳を記帳して下さい。通帳残高と帳簿残高が異なっていれば、その原因を追究して下さい。小切手や手形が銀行側で処理されていない場合もあるので、調整表を作成しましょう。売上の計上漏れや仕入の処理漏れにも注意して下さい。 これも年一回というより、定期的な日常処理に近いものと思います。

3.有価証券や金券類(切手、収入印紙、株券など)

12月末時点で手元に残っている切手や収入印紙は、貯蔵品として計上して下さい。日常処理で、購入時に全額を経費処理している方が多いと思います。しかし、手元に残っている分は資産になりますので、集計して貯蔵品に振り替える必要があります。ビール券や商品券等も貯蔵品として計上する必要がありますので、忘れずに集計してください。 これは年一回の処理と言えます。

3.棚卸資産

年一回の一大イベント、それが在庫の実地棚卸です。 商品や製品の12月末時点の残高を確かめるため、在庫の実地棚卸を行って下さい。在庫数を集計し、単価を乗じれば年末時点の棚卸資産の在庫の残高になります。日常処理で、購入時に全額を経費処理している方が多いと思います。しかし、在庫は資産になりますので、棚卸資産に振り替える必要があります。 実地棚卸は、可能な限り年内の営業終了後速やかに行ってください。

4.有形固定資産及び減価償却費

有形固定資産については、現物が存在しているか定期的にチェックして下さい。新たな資産を取得した場合や既存資産を廃棄した場合、風水害等で損傷または滅失している場合があります。 減価償却費については、固定資産ごとに耐用年数や償却方法を確認して今年の分の減価償却費を計上して下さい。

以上、代表的なものをいくつか取り上げて解説しました。 あまり決算処理で悩むことが無いよう、日常処理をしっかりと行って下さい。

詳しいことは、税務の専門家である税理士にご相談ください。

「姫路商工会議所報」H28.3号掲載