Q. 経営者仲間から小規模企業共済に入っているという話をよく聞きますが、小規模企業共済ってどのような制度なのですか?
A. 国の機関である中小機構が運営する小規模企業共済制度は、小規模企業の経営者や役員、個人事業主が加入できる積み立てによる退職金制度です。掛金は全額を所得控除できるため所得税、住民税の節税効果があります。
解説
小規模企業共済は、個人事業主や共同経営者、会社等役員の方が加入することができ(業種ごとに従業員数の要件があります)、廃業や退職時の生活資金などのために積み立てることのできる、いわば経営者のための退職金制度です。
この共済制度への加入対象は、①建設業、製造業、運輸業、不動産業、農業、サービス業などを営む場合は常時使用する従業員の数が20人以下の個人事業者又は会社の役員。②卸売業、小売業、サービス業などを営む場合は常時使用する従業員の数が5人以下の個人事業者又は会社の役員である方が加入対象となります。
月々の掛金は1,000~70,000円まで500円単位で自由に設定が可能で、加入後も増額・減額ができます。毎年の掛金拠出額はその全額を小規模企業共済等掛金控除として所得から控除できるため所得税、住民税を節税することができます。
例えば7万円×12か月分の84万円を掛けた場合には、最低でも所得税5%(復興特別所得税は加味していません)と住民税10%で126,000円が減税されることになります。所得の高い方は所得税率が高くなるため、その効果はより高まることになります。掛金は年払いにすることも可能なため、年内に加入して1年分を払った場合には、今年の所得からその1年分の掛金を控除することができます。
共済金は、退職や廃業の際に受け取り可能となりますが、「一括」「分割」「一括と分割の併用」という受取り方が選択できます。一括受取りの場合は退職所得扱いに、分割受取りの場合は、公的年金等の雑所得扱いとなります。特に一括で受け取る場合には、退職所得控除として、加入期間が20年以下の場合で1年あたり40万円の控除があり、それを差し引いた額の1/2が退職所得として課税対象となるため、金額によっては無税で受け取ることも可能となります。
他にメリットとして、契約者の方は掛金の範囲内で低金利の貸付制度を受けることができ、即日貸付けも可能となっています。
最後に注意点としては、加入期間が12か月未満で任意解約すると掛け捨てになってしまうこと、掛金納付月数が20年未満で自己都合による任意解約をした場合、解約金は元本割れすることなどがあります。
加入窓口は委託団体(商工会議所、商工会、中小企業団体中央会、中小企業の組合など)、または金融機関(都市銀行、信託銀行、地方銀行、第二地方銀行、信用金庫、信用組合、商工組合中央金庫など)などで加入することができます。
詳しいことは、税務の専門家である税理士にご相談ください。
(近畿税理士会姫路支部)