Q. 知り合いの社長から、飲み代は全て経費になるって聞いたんだけど、本当かな?
A. 全て経費になる訳ではなく、経費になる場合とならない場合があります。
解説
まず大前提として、会社の場合でも個人事業の場合でも、生活費である、単なる飲食代は法人税法上(会社の場合)の損金、所得税法上(個人事業の場合)の必要経費になりません。
(本稿では、損金及び必要経費を「経費」と記載しています。)
一方、取引先との打合せ時に要した飲食代等、事業遂行上必要な費用については経費になり、費用種別(勘定科目)は下記のように様々です。
- 取引先との飲食代(会議の実態なし) → 接待交際費(一定の限度額あり)
- 取引先との打合せ時の飲食代(会議の実態あり)→ 会議費
- 代表者と全社員との懇親会で要した飲食代 → 福利厚生費
- 代表者と一部の社員との懇親会で要した飲食代 → 給与(源泉徴収の対象となる)
なお会社の場合、社長をはじめとした会社役員が関与する飲食代については、特に注意が必要です。
たとえば、会社役員が仕事と無関係の友人と飲食した費用を交際費として会計処理をして申告したところ、税務調査を受け、その役員への臨時的な給与(役員賞与)と認定された場合、法人税の追徴、消費税の控除額の否認、役員の給与所得として源泉所得税・個人住民税の追徴、更に加算税や延滞税等の罰金が課される可能性がありますので、注意が必要です。
ちなみに最近の裁判例で、ある法人の社長が一人飲みを繰り返し、その飲み代を交際費として会計処理をして申告したところ、税務調査を受け、「個人的な飲食費」と指摘され交際費と認められず、裁判でも同様の判断が下された、というものがあります。
詳しいことは税務の専門家である税理士にご相談ください。