Q. グループ通算制度という言葉を聞きましたがどのような制度でしょうか? また、連結納税制度のからの主な変更点を教えてください。
A. 完全支配関係のある企業グループ内の各法人を納税単位として、各法人が個別に法人税額の計算及び申告を行い、その中で、損益通算等の調整を行う制度です。すなわち、連結納税制度における損益通算等の仕組みを維持しつつ、申告・納税単位をグループ内の各企業とすることにより、連結納税制度における申告の煩雑さ等を簡素化した制度です。
解説
連結納税制度からグループ通算制度における主な変更点について、以下①~③をご紹介させていただきます。
①納税、申告単位
✅連結納税制度
企業グループ全体を1つの納税単位として、連結親法人が企業グループ全体の法人税額等を計算、申告する方式
✅グループ通算制度
企業グループ内の各法人が個別に法人税額等を計算、申告する方式に変更
②親法人の欠損金
✅連結納税制度
連結納税開始前の連結親法人の欠損金は、その開始後においては連結欠損金としてグループ内で控除が可能であり、何ら制限が課されていない
✅グループ通算制度
子法人と同様に一定の制限が課されるようになっている
③中小法人の判定
✅連結納税制度
中小法人か否かの判定は連結親法人の資本金の金額による為、連結子法人が大規模法人であったとしても、連結親法人が中小法人であれば、中小法人の軽減税率や貸倒引当金等の中小法人特例が適用可能
✅グループ通算制度
全ての通算グループ法人の資本金の金額により判定され、通算グループ内に1社でも大規模法人があれば全ての会社において軽減税率や中小法人特例の適用ができなくなる点に留意が必要
2022年4月開始事業年度より、連結納税制度はグループ通算制度に移行しています。連結納税制度の税額計算等の煩雑さ等から、損益通算のメリットがあるにも関わらず、連結納税制度の適用を見送られていた企業グループ様もあるかと思います。一度グループ通算制度の適用をご検討してみてはいかがでしょうか。
詳しいことは税務の専門家である税理士にご相談ください。