Q. インボイス制度、改正電子帳簿保存法が開始すると、 ETCにおけるインボイス制度等への対応が必要になると聞きました。どのような対応が必要になるのでしょうか?
A. ETC利用照会サービスに利用登録し、ETC利用証明書を出力する必要があります。ETC利用証明書は原則として改正電子帳簿保存法の要件である真実性・検索性を満たした上で保存する必要があります。
解説
クレジットカード明細だけではインボイスの要件に不足する
これまで、ETCについてはクレジットカード明細から費用計上し、他の書類は特に保存していないのが一般的だったかと思います。それは、これまでは「税込みの支払額が30,000円未満の場合には、請求書等の保存を要せず、法定事項が記載された帳簿の保存のみでよい(消費税法施行令49条1項1号)」という規定があったからです。インボイス制度開始後はこの規定が廃止されますので(2029年9月30日までは、基準期間の課税売上高1億円以下の事業者は経過措置あり)、原則として、インボイスの要件を満たした書類の保存が必要になります。しかし、ETCを利用するとき、ゲートを通過するだけで何も書類は入手しません。
ETC利用照会サービスへの登録が必要
ETC利用照会サービスというwebサイトがあります。こちらに利用登録することで、ETC利用証明書を取得することができます。インボイス制度開始後からはETC利用証明書がインボイスの記載要件を満たした書類になるので、こちらを保存することになります。ETC利用照会サービスを利用するには、ETCカード番号、メールアドレス、過去の利用年月日(15カ月以内)、車両番号、車載器管理番号が必要になります。
紙書類の入手はできない。電子帳簿保存法への対応が必要
ETC利用証明書のETC利用照会サービスでの保存期間は15カ月間となっているため、定期的に出力して保存する必要があります。この時、ETC利用証明書は電子出力されることから、電子帳簿保存法にも対応していく必要があります。基準期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者は検索性の要件が免除されており、一旦プリントアウトする方法が取れますが、税務調査等の際に指示された場合はデータの提示も求められます。よって、プリントアウトだけでなくデータ状態でも出力し保存しておく必要があります。
社員が個人のETCカードで立て替えた場合の注意点
社員が自身のETCカードで立て替えた場合も、電子帳簿保存法の対象になります。ここで気をつけることは、電子データを一度印刷し、スキャンするという方法は認められていないことです。よって、社員が立て替えたETC代は、社員にもETC利用照会サービスに登録してもらい、電子データのままのETC利用証明書を受領し、保存することになります。
詳しいことは、税務の専門家である税理士にご相談ください。