Q. 「生成AI」を利用して事業の効率化を図るために投資を検討しております。その際に支出した費用の取扱いはどうなるのでしょうか?お教えください。

A. 支出された内容によりその取扱いが異なります。生成AIサービスを利用する際のライセンス費用や研修費等の費用は「支払手数料」「研修費」等として支出時に費用計上されます。また、自社の目的に合わせてカスタマイズした独自の生成AIを搭載したシステムの開発を行った場合は一般的に完成時にソフトウェア等として「資産計上」され、期間費用として法定耐用年数に応じて費用処理されることになります。

解説

ChatGPTに代表される「生成AI」(テキスト・画像・動画等の生成力があるAI)は、様々な分野の企業が積極的に活用されていますが、その活用方法により会計処理等は異なります。

(1)生成AIサービスを利用した場合

 ①「ChatGPT」を開発したOpenAI社やMicrosoft社、Google社などが提供している生成AIサービスを利用する際に発生するライセンス料は支出時の費用となり、支払手数料等で処理することになります。

 ②生成AIを利用するにあたり、社員等に必要な教育やトレーニングをした場合にはその費用は研修費として役務の提供を受けた年分の費用として計上することとなります。

  具体的には、従業員のスキル向上(専門的知識、技術・商品知識、カスタマーサービス技術、経験値の共有)を図るための講習会参加・勉強会開催・動画視聴・ZOOM研修等々があげられます。

  また、法人が教育訓練費として社員の職務に必要な技術又は知識を習得させ、又は向上させるために支出した費用は法人税額の特別控除の対象となる可能性もあり、税制面でのメリットもあるため確認が必要です。

 ③利用の際に必要なインターネット等の通信関係の費用は支出時に通信費として計上することができます。また、購入した機器は消耗品費で経費計上することもできますが、10万円以上の支出の場合は原則資産計上し、減価償却費として法定耐用年数に応じて費用処理されることになります。

(2) 自社の目的に合わせてカスタマイズした独自の生成AIを搭載したシステムの開発を行った場合

①カスタマイズしたAIを搭載したシステムを開発する場合のその導入費用の合計は数十万円~数百万円、場合によれば数千万円と高額となるため、一般的には資産計上の対象となり、期間費用として法定耐用年数に応じて費用処理されることになります。

②システム運用にあたり、システム導入会社の保守等の運用サービスにおける月額費用などは支払手数料等の科目で費用計上することができます。

また、社員等に必要な教育やトレーニングなど研修関係の費用につきましても、上記と同様に研修費として費用計上することができますが、まだサービスが未提供なのに支払いだけ先に済ませたケース(前払費用)はその支出時には、原則経費にならないため注意が必要です。 生成AIの利用に関しては、利用方法、目的、内容、支払方法、金額等により、勘定科目及び会計処理が異なってきますので、利用される前に税理士等に確認の上で導入されることをお勧めします。

詳しいことは、税務の専門家である税理士にご相談ください。

(近畿税理士会姫路支部)

https://kinzeihimeji.org