Q サラリーマン(役員を含む)が確定申告をすることで、税金が返ってくることがあると聞きました。それはどんな場合でしょうか?

A  サラリーマンのように給与をもらう方は、多くの場合、年末調整で税金の精算(還付または追加徴収)が完了します。ただ、年末調整では控除が受けられないものがあり、これらの控除を受けるためには確定申告をする必要があります。つまり、年末調整で還付を受けた方が、さらに確定申告でも還付を受けられる場合があります。

【解説】確定申告をすることで還付を受けることが出来るもののうち、一部になりますが紹介します(住宅ローン控除、その他のものは、紙面の関係上割愛しています)

1.医療費控除

自分や自分と生計を一にする親族のために支払った医療費が一定額を超えるときは、一定額を超えた分だけ医療費控除を受けることが出来ます(最高200万円)。この「一定額」については、10万円が一般的に知られていますが、10万円以下でも医療費控除が受けられる場合があります。それは、所得が低い場合(給与だけの場合では、年収で約311万円未満)です。例えば、年収240万円の方が医療費控除を受けるためには、7万5千円を超えれば、超えた分だけの医療費控除を受けることが出来ます。この医療費控除は、医療費控除の特例(セルフメディケーション税制)との選択適用になります。

2.寄付金控除

自然災害等で国や地方公共団体等へ寄付をした場合、一定の要件を満たすものについては寄付金控除を受けることが出来ます。今話題のふるさと納税も一定の要件を満たす寄付となるため、同様に寄付金控除を受けることが出来ます。ただ、ふるさと納税については、ワンストップ特例制度を申請することで、確定申告をしなくても寄付金控除の適用を受けることが可能です(ふるさと納税を行う自治体が5つまでの場合)。申請を忘れた方、または5つを超える自治体へふるさと納税を行った方は、確定申告により寄付金控除を受けてください。

また、ワンストップ特例制度の申請をした方でも、医療費控除等で確定申告をする場合は、ワンストップ特例が無効となりますので、確定申告でもう一度ふるさと納税の控除を受けてください。

3.雑損控除(地震・台風・火事・白アリ等)

自然災害・盗難・横領によって、生活に通常必要な住宅・家具・車・現金などの資産について一定額を超える損害を受けた場合は、雑損控除という制度により所得税の還付を受けられる場合があります。もちろん保険で損害額の全てがカバーされている場合は適用できませんが、保険に入っていない場合や、補償に限度がある場合などは適用可能です。また、意外なものが雑損控除の対象となります。それは、害虫、害獣による災害です。具体的には、シロアリの駆除費が挙げられます。他方、似たようなもので、詐欺や恐喝が挙げられますが、これらは対象から外れています。つまり、「オレオレ詐欺」による損害は雑損控除を受けることが出来ません。

4.配当から天引きされている税金の還付

源泉徴収されている特定口座により株の運用をしている場合、確定申告をせずに納税を終わらせることが出来ます(申告不要制度)。これは申告しなくてもOKという意味なので、もちろん申告してもOKです。「特定口座=申告しない」と考えがちですが、特定口座の配当をあえて確定申告をすることで、所得税の還付を受けることができます。所得税の税率は、所得が高い人ほど高くなります(住民税も含めると、15~55%)。これに対し、配当から源泉徴収される税率は、固定で約20%です。配当を確定申告しなければ約20%の納税は完了ですが、あえて確定申告をした(配当+その他の所得)場合の税率が20%より低いとき、その差額は所得税の還付対象となります。この場合の注意点として、あえて確定申告することで、所得税以外の国民健康保険料や保育料などが増額になる場合がありますので、住民税の申告不要制度を検討される等、税理士に相談されることをオススメします。

詳しいことは税務の専門家である税理士にご相談ください。