Q 最近、株式投資においてNISA(ニーサ)という言葉を聞きますが、NISAについて教えて下さい。
A NISAとは、日本版ISA(Individual Savings Account)制度について、金融機関が広報活動などに用いている愛称です。
NISAは、20歳以上の居住者等を対象として、非課税口座内で取得した上場株式等について、その配当等やその上場株式等を売却したことにより生じた譲渡益が、一定期間非課税となる制度です。また、20歳未満の居住者等に対しては、ジュニアNISA呼ばれる非課税制度があります。これらの非課税措置を受けるためには、金融商品取引業者等に非課税口座又は未成年者口座を開設する必要があります。
解説:
1.通常の上場株式等の譲渡所得等
上場株式等を保有している場合に上場株式等を売買して利益を出すと、譲渡益に対して20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%、住民税5%)の税金がかかります。また、配当金に対しても同様の税率で税金がかかります。
2.NISA口座の概要
(1)NISA
ア 非課税対象:非課税口座内の少額上場株式等の配当等、譲渡益
イ 開設者(対象者):口座開設の年の1月1日において満20歳以上の居住者等
ウ 口座開設可能期間:平成26年1月1日から平成35年12月31日までの10年間
エ 非課税管理勘定設定数:各年分ごとに1非課税管理勘定のみ設定可
オ 非課税投資額:1非課税管理勘定における投資額は100万円を上限(※未使用枠は翌年以後繰越不可)※平成28年1月1日以後、上限は120万円になりました。
カ 保有期間(非課税期間):最長5年間、途中売却可(ただし、売却部分の枠は再利用不可)
キ 非課税投資総額:最大500万円(100万円×5年間)
※平成28年1月1日以降、最大600万円(120万円×5年間)になりました。
(2)ジュニアNISA
ア 非課税対象:未成年者口座内の少額上場株式等の配当等、譲渡益
イ 開設者(対象者):口座開設の年の1月1日において20歳未満又はその年に出生した居住者等
ウ 口座開設可能期間:平成28年4月1日から平成35年12月31日までの8 年間
エ 金融商品取引業者等の変更:変更不可(1人につき1口座のみ)
オ 非課税投資額 :1非課税管理勘定における投資額は 80万円を上限(※未使用枠は翌年以後繰越不可)
カ 非課税期間:最長5年間、途中売却可(ただし、売却部分の枠は再利用不可)
キ 非課税投資総額:最大400万円(80万円×5年間)
ク 払出制限:その年の3月31日において18歳である年(基準年)の前年12月 31日までは、原則として未成年者口座及び課税未成年者口座からの払出しは不可
3.NISA口座において気を付けるべき点
(1)非課税期間経過後
非課税期間を経過した後は、特定口座や一般口座へ移すか、再度非課税口座内の新たな非課税管理勘定へ移管するかを選択することになります。
NISAの非課税期間は5年間です。5年間を経過すると、NISA口座で購入した株式は、特定口座や一般口座などの課税口座に移り、その後の配当金や売買益などは課税されます。
再度非課税口座内の新たな非課税管理勘定へ移管する場合には、翌年分の非課税枠を使用することになりますが、上場株式等の時価などにより移管できない場合もございます。
(2)損益通算が出来ない
通常の口座であれば、上場株式等の売却等により生じた損失は、他の口座で生じた上場株式等の売却益や配当と損益通算できます。また、損益通算してもなお控除しきれない損失の金額については、翌年以降3年間にわたり損失の繰越ができます。しかし、NISA口座で取引した株式の場合は、損益通算や損失の繰越はできません。
平成29年度税制改正により、これまでのNISAに加えて、「つみたてNISA」(公募株式投資信託などを投資対象とする積立・分散投資に適した制度)が創設され、平成30年1月より始まっています。
詳しいことは、税務の専門家である税理士にご相談ください。