Q 所得税等を計算する際の配偶者の区分が3種類になると聞きました。 どう変わったのでしょうか?
A 配偶者の区分が同一生計配偶者、控除対象配偶者、源泉控除対象配偶者、の3種類になります。これは、配偶者控除と配偶者特別控除の見直しによるものです。そして給与等に対する源泉徴収税額を求める時の扶養親族等の数の計算の仕方も変わります。これらは、平成30年分以後の所得税に適用されます。
【解説】
イ. 配偶者の3種類の区分は、次のとおりです。
1.同一生計配偶者
居住者と生計を一にする配偶者で、合計所得金額が38万円以下である者をいいいます。(青色事業専従者等を除きます。)
2.控除対象配偶者
①の同一生計配偶者のうち、合計所得金額が1,000万円以下である居住者の配偶者をいいます。このうち70歳以上の人を老人控除対象配偶者といいます。
3.源泉控除対象配偶者
合計所得金額が900万円以下である居住者の配偶者で、その居住者と生計を一にするもの(青色事業専従者等を除きます。)のうち、合計所得金額が85万円以下である者をいいます。
ロ.見直された配偶者控除と配偶者特別控除
①配偶者控除
合計所得金額が1,000万円を超える居住者については、配偶者控除の適用がなくなりました。また居住者の合計所得金額によって、適用できる控除額が異なります。
居住者の合計所得金額 | 控除額 | |
控除対象配偶者 | 老人控除対象配偶者 | |
900万円以下 | 38万円 | 48万円 |
900万円超950万円以下 | 26万円 | 32万円 |
950万円超1,000万円以下 | 13万円 | 16万円 |
②配偶者特別控除
従来通り合計所得金額が1,000万円を超える居住者については、配偶者特別控除の適用はありません。また配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額は、38万円超123万円以下とされ、居住者の合計所得金額と配偶者の合計所得金額によって、適用できる控除額が異なります。紙幅の関係で、控除額は省略します。
ハ.扶養親族等の数の計算の仕方
税額表の甲欄を適用して給与等に対する源泉徴収税額を求める際、配偶者が源泉控除対象配偶者に該当する場合には、扶養親族等の数に1人を加えて計算します。
また、同一生計配偶者が障害者に該当する場合には、扶養親族等の数に1人を加えて計算します。障害者には特別障害者も含み、同居特別障害者の場合には、もう1人を加えることになります。
(注)合計所得金額とは、1~4の合計額(繰越控除前の金額)です。
1. 事業所得、不動産所得、利子所得、給与所得、総合課税の配当所得、総合課税の短期譲渡所得及び雑所得の合計額(損益通算後の金額)
2. 総合課税の長期譲渡所得と一時所得の合計額(損益通算後の金額)の2分の1後の金額 2.の損益通算はそれぞれ2分の1前で行う
3. 申告分離課税(それぞれ特別控除前)の所得金額の合計額
4. 退職所得金額、山林所得金額の合計額
繰越控除とは純損失や雑損失の繰越控除、特定居住用財産及び居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除、特定中小会社が発行した株式及び上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除、先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除です。
詳しいことは、税務の専門家である税理士にご相談ください。