Q 今後ビールの価格は高くなりますか?それとも安くなりますか?

A 2017年6月1日からビールの価格は、おおむね1割程度値上げとなっておりますが、2020年10月1日から段階的にビールの価格は安くなりそうです。他方、発泡酒と第三のビールの価格は、2020年10月1日から段階的に高くなりそうです。また消費税法の改正により2019年10月1日から酒類は2%弱の値上げが予想されます。

【解説】

2017年6月1日からビールの価格は、おおむね値上げとなっております。

同日施行の改正酒税法では、ビールの小売価格が、仕入れ原価に人件費や運送費などの販売管理費を加えた「総販売原価」を割り込むような安売りを規制したため、仕入れ原価にわずかな利益を加えた安い価格で販売してきた小売店では、1割以上の値上げがされているところが多く見受けられます。

大手コンビニエンスストアでは、350ml缶の小売価格でビールが一缶220円、発泡酒が165円、第三のビールが145円程度で販売されております。

これらの価格に含まれている酒税は、お酒の種類によって税率が異なります。酒税法ではビール系飲料を①ビール(原料の中の麦芽の比率が67%以上のもの)②発泡酒(原料の中の麦芽の比率が25%未満のもの)③第三のビール(原料に麦芽を一切使わないもの)と三種類に分けて課税しております。

現在この酒税は、350ml一缶あたりで換算すると①ビール77円、②発泡酒47円、③第三のビール28円となっておりますが、2026年10月1日までに段階的に一缶54.25円に統一されることとなりました。ビールでは350mlで10%近くの値下がりとなりますが、第三のビールでは20%近くの値上がりとなります。この改正は、東京オリンピックが開催される2020年10月1日から3年刻みで適用となります。改正の趣旨は、同じような商品の税率の不平等感を解消することのようです。

ちなみにこの酒税は、税金を納める義務がある者(納税者)と、税金を負担する者(担税者)が異なる間接税です。担税者は消費者であり、納税者はメーカーとなります。我々が小売店で購入する段階で、酒税は価格に含まれています。

なお2019年10月1日の改正消費税法により、消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という)の税率が10%となる際に複数税率制度が予定されております。食料品は8%据え置きとなりますが、酒類は食料品から除かれておりますので、残念ながらビールの税率は10%となります。その結果、消費税等の増税分である2%弱の値上がりとなりそうです。

詳しいことは、税務の専門家である税理士にご相談ください。