Q 平成28年分の所得税の確定申告で納税額を少なく申告をしていた事が分かりましたが、どうすればよいでしょうか。

A ご質問の平成28年分の所得税の確定申告書に記載した納付税額が過少になっていることが判明した場合は、税務署から納税者に対して、調査に関する一定事項の通知がされる前に、修正申告書の作成及び提出と過少部分の税額を納付されることが大切です。
また、確定申告後の見直しで納付税額が過大になっていることが判明した場合は、更正の請求をすることができます。
いずれもお早めに手続きをされることをお薦めします。
なお、平成28年度の税制改正により、国税通則法の一部が改正され、加算税制度の見直しが行われています。(解説Ⅰ及びⅡ参照)

【解説】 

Ⅰ 実地調査に際し、税務署から納税者に対して、調査に関する一定の事項の通知があった場合で、その調査通知以後の修正申告書または期限後申告書の提出に対しては、加算税が課される措置が設けられました。

修正申告書が調査通知以後に提出され、かつ、その提出が調査による更正を予知してされたものでない場合には、その申告に基づいて納付すべき税額に5%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分は10%)の割合を乗じて計算した金額に相当する過少申告加算税を課すこととされました。
また、期限後申告書についても、調査通知以後に提出され、かつ、その提出が調査による更正または決定を予知してされたものでない場合には、その申告に基づいて納付すべき税額に10%(50万円を超える部分は15%)の割合を乗じて計算した金額に相当する無申告加算税を課することとされました。

【改正後の加算税割合】

修正申告等の時期 過少申告加算税 無申告加算税
改正前 改正後 改正前 改正後
法定申告期限等の翌日から
調査通知前まで
対象外 対象外 5% 5%
調査通知以後から調査による
更正等予知前まで
対象外 %(10%) 5%(10%) 10%(15%)
調査による更正等予知以後 10%(15%) 10%(15%) 15%(20%) 15%(20%)

※注1.( )書きは、加重される部分に対する加算税割合。
※注2.更正等を予知されたものである場合は、調査通知の有無にかかわらず、加算税が賦課されます。    

Ⅱ 短期間に繰り返して無申告または仮装・隠ぺいが行われた場合に加算税の割合が加重される措置が設けられました。

期限後申告等があった場合において、その期限後申告等があった日の前日から起算して5年前の日までの間に、その期限後申告等に係る税目について無申告加算税(調査による更正または決定の予知後に課されたものに限ります。)または重加算税を課されたことがあるときは、その期限後申告等に基づき課する無申告加算税または重加算税の額は、その期限後申告等に基づいて納付すべき税額に下表の割合を乗じた金額とされました。

【改正後の加算税割合】

加算税の区分 期限後申告等があった日前5年以内に同じ税目に対して
無申告加算税または重加算税を課されたことの有無
無申告加算税 15%
(20%)
25%
(30%)
重加算税(無申告加算税に代えて課されるもの)過少申告加算税または不納付加算税に代えて徴収されるもの) 35% 45%
重加算税(無申告加算税に代えて課されるもの) 40% 50%

(注)( )書きは、加重される部分(50万円超の部分)に対する加算税割合。

詳しいことは、税務の専門家である税理士にご相談ください