Q 私は、5年間家族を伴って海外勤務をしておりましたが、転勤命令により、平成28年10月に帰国し、新居に住んでいます。この新居は、私たちが帰国後すぐにでも住めるように、日本に住んでいる私の両親が海外勤務している私に代わって売買や借り入れの手続きを進め、帰国前の平成28年6月に、私の名前で購入したものです。私が新居を購入したときは非居住者でしたが、税額控除が受けられますか。
A 一定の条件に該当すれば、確定申告の際に税額控除を受けることができます。
【解説】
個人が住宅ローン等を利用してマイホームの新築、取得又は増改築等(以下「取得等」といいます。)をした場合、一定の要件を満たすときは、その取得等に係る住宅ローン等の年末残高の合計額等を基として計算した金額を、居住の用に供した年分以後の各年分の所得税額から控除する「住宅借入金等特別控除」又は「特定増改築等住宅借入金等特別控除」の適用を受けることができます。
この個人とは、居住者であるか非居住者であるかを問いませんので、新居を購入された時に非居住者であっても適用されることとなります。
なお、この規定は、平成28年4月1日以降に取得等した場合に適用されます。
次に、住宅借入金等特別控除の適用要件について、説明します。
個人が住宅を新築又は建築後使用されたことのない住宅を取得した場合で、住宅借入金等特別控除の適用を受けることができるのは、次の全ての要件を満たすときです。
- 新築又は取得の日から6か月以内に居住の用に供し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること。
- この特別控除を受ける年分の合計所得金額が、3千万円以下であること。
- 新築又は取得をした住宅の床面積が50平方メートル以上であり、床面積の2分の1以上の部分が専ら自己の居住の用に供するものであること。この場合の床面積の判断基準は、次のとおりです。
- 床面積は、登記簿に表示されている床面積により判断します。
- マンションの場合は、階段や通路など共同で使用している部分については床面積に含めず、登記簿上の専有部分の床面積で判断します。
- 店舗や事務所などと併用になっている住宅の場合は、店舗や事務所などの部分も含めた建物全体の床面積によって判断します。
- 夫婦や親子などで共有する住宅の場合は、床面積に共有持分を乗じて判断するのではなく、ほかの人の共有持分を含めた建物全体の床面積によって判断します。
しかし、マンションのように建物の一部を区分所有している住宅の場合は、その区分所有する部分(専有部分)の床面積によって判断します。
- 10年以上にわたり分割して返済する方法になっている新築又は取得のための一定の借入金又は債務(住宅とともに取得するその住宅の敷地の用に供される土地等の取得のための借入金等を含みます。)があること。
- 居住の用に供した年とその前後の2年ずつの5年間に、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例などの適用を受けていないこと。
以上の条件が満たされている場合に、居住し始めた年分の確定申告書を提出することにより、税額控除を受けることができます。
詳しいことは、税務の専門家である税理士にご相談ください。