Q. 私は会社を経営しておりますが、役員報酬はいくらにしておくのが妥当でしょうか。また、その際の税務上の注意点もあわせてお教えください。

A. 会社毎に事情が異なるので、役員報酬の額をいくらにすれば良いかは一概には言えませんが、「世間相場」「会社業績」「資金繰り」を参考に決定するのが一般的です。また、役員報酬の変更可能時期は法人税法上規定されていますので注意が必要です。

解説

国税庁が作成している「民間給与実態統計調査」を参考にしますと、企業規模別及び給与階級別の総括表(役員)その他平均給与では、役員報酬は6百万円/人~12百万円/人の間に納まっており、この範囲内で役員報酬を決めている会社が多いように思われます。

中小企業庁作成の「令和4年中小企業実態基本調査速報」では、平均売上高180,098千円、平均経常利益8,707千円となっており、経常利益率は4.8%となっておりますので、この数値を参考に経常利益率から役員報酬を逆算していくことで決定するのも良いと思われます。

 借入金の返済原資は大まかに税引き後の最終利益と減価償却費を足したものになります。そのため、借入金の返済がある場合には、利益がマイナス(損失がでるような)の業績であれば金融機関への返済額が不足する可能性があるため、貸借対照表の現預金の額等と相談しながら役員報酬の適正額を決定した方が良いでしょう。

以上、例をあげてみましたが、会社によっては上記以外の要素も検討する必要がありますので慎重に決定をしてください。

役員報酬の変更における注意点

役員報酬の変更は、変更可能な時期が法人税法上規定されております。法人が役員に対して支給する給与の額のうち、一般に役員報酬といわれて損金の額に算入されるものが定期同額給与であり、(役員報酬の中には、事前確定届出給与または一定の業績連動給与もありますが今回は触れません)次に掲げる給与をいいます。

①その支給時期が1か月以下の一定の期間ごとである給与で、その事業年度の各支給時期における支給額が同額であるもの。

②定期給与で、通常改定がされた場合において、その事業年度開始の日または給与改定前の最後の支給時期の翌日から給与改定後の最初の支給時期の前日またはその事業年度終了の日までの間の各支給時期における支給額が同額であるもの。

通常、役員報酬の改定については、その事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3ヶ月を経過する日までにされた改定でなければならないこととなっております。

その他にも役員報酬の支給には法人税法上の細かな制約等がありますので、役員報酬を変更する場合は、税理士と相談の上で変更するようにしてください。


 詳しいことは、税務の専門家である税理士にご相談ください。(近畿税理士会 姫路支部)