Q. 衣料品小売業を営む当社は、当課税期間(令和8年4月1日~令和9年3月31日)において、事務所として使用していた土地建物をたまたま譲渡したため、課税売上割合が70%前後になり、消費税の負担が増えることが予想されます。 
 なお、当社は、この土地建物譲渡後も、営業の実態に変動はありません。このような場合には、「課税売上割合に準ずる割合」により仕入控除税額の計算をすることができるそうですが、その具体的な取扱いを教えてください。

 なお、最近の課税期間の課税売上高・非課税売上高とこれらの合計額は、次の表のとおりです。

(注)前課税期間までは、「課税売上高が5億円以下で、かつ、課税売上割合が95%以上」のため、課税仕入等の全額を控除しています。

A. 以下 2回に分けて詳しく説明させていただきます。

解説

1 制度の趣旨

 個別対応方式により仕入控除税額を計算する場合に、その共通仕入控除税額を課税売上割合により計算したとき、その控除税額がその事業者の事業の実態を適正に反映しないことがあります。
 そこで、事業者の実態に合致するように、課税売上割合に代えて「課税売上割合に準ずる割合」により共通仕入控除税額を計算することが認められています。

2 課税売上割合と通算課税売上割合

  • 令和5年4月1日~令和6年3月31日の課税売上割合

6,698万円/6,800万円=98.5%

  • 令和6年4月1日~令和7年3月31日の課税売上割合

6,862万円/7,000万円=98.02%

  • 令和7年4月1日~令和8年3月31日の課税売上割合

7,020万円/7,200万円=97.5%

  • 当該土地の譲渡があった課税期間の前3年に含まれる課税期間の通算課税売上割合

(6,698万円+6,862万円+7,020万円)/(6,800万円+7,000万円+7,200万円)=98%

  • 令和8年4月1日~令和9年3月31日の課税売上割合(予想) 70%前後

3 適用判定

 次の①~③のすべての要件を満たしているため、税務署長の承認を受けることにより、「課税売上割合に準ずる割合」の適用を受けることができます。

① 土地の譲渡が単発のものであること
② 譲渡後も衣料品小売業を営んでおり、事業者の営業の実態に変動がないこと
③ 過去3年間で「最も高い課税売上割合(98.5%)」と「最も低い課税売上割合(97.5%)」の差が5%以内(1%)であること

4 課税売上割合に準ずる割合

① 当該土地の譲渡があった課税期間の前3年に含まれる課税期間の通算課税売上割合 
  98%
② 当該土地の譲渡があった課税期間の前課税期間の課税売上割合 
  97.5%
③ 課税売上割合に準ずる割合(①又は②のいずれか低い割合)

① > ②  ∴ 97.5%

 税務署長の承認を受けることにより、「課税売上割合に準ずる割合」を97.5%として、次の算式により、仕入控除税額を計算することができます。

制度の概要については次回記事にて解説させていただきます。

詳しいことは、税務の専門家である税理士にご相談ください。