Q.私は長年、義父の介護をしてきました。法改正により相続人でなくても、介護した義父の遺産がもらえるようになったと聞きましたが、本当でしょうか?また、もらった財産に税金はかかるのでしょうか?

A.2018年度の法改正により、201971日以降開始の相続について、被相続人の介護や看病に貢献した相続人以外の親族は、相続人に金銭請求ができるようになりました。これを特別寄与料の支払請求権と言います。ただ、その請求にはいくつかの要件があるため、必ず特別寄与料をもらえるとは限りません。また特別寄与料は、相続税の課税対象となります。

解説

1.特別寄与料を請求するための要件

下記の要件を全て満たす場合に、特別寄与料を請求することができます。

  • 特別寄与者が、相続人以外の親族(6親等内の血族と3親等内の姻族)であること
  • 被相続人に対して、無償で療養看護等の労務の提供をしたこと
  • それにより、被相続人の財産が維持又は増加したこと

例えば、毎日見舞に行き、話し相手になっていた。これは、被相続人の財産の維持や増加に寄与したことにはなりません。しかし、特別寄与者が被相続人の療養看護をすることによって、介護サービス等を利用せずに済んだ場合、そのサービス料を節約できた分は、被相続人の財産の維持に特別の寄与をしたと言えるでしょう。

2.特別寄与料の請求先

 特別寄与者は相続の開始後、相続人に対し特別寄与料を請求することができます。金額については、相続人との話し合いにより決定します。もし協議がまとまらない場合、特別寄与者は家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができます。なお家庭裁判所への請求には期限があり、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から6か月、又は相続開始から1年を経過すると請求できなくなりますので、注意が必要です。

3.請求が認められ特別寄与料の額が確定した場合

 特別寄与者は被相続人から「遺贈」により金銭を取得したものとみなされ、相続税の申告が必要な場合には、他の相続人と同様に相続税の申告及び納付をすることになります。特別寄与者の相続税の申告期限は、特別寄与料の額の決定から10ヶ月以内です。また、特別寄与者は相続人ではないため、相続税の2割加算の対象となります。

4.特別寄与料を支払った相続人の相続税

 特別寄与料を支払った相続人は、相続税の課税価格から特別寄与料を控除することができます。相続税の申告時に特別寄与料の額が確定していない場合は、その確定後4か月以内に更正の請求をして、払い過ぎた相続税の還付を受けることができます。

(補足)
相続税の申告納付が必要なのは、相続財産が下記の基礎控除額を超える場合です。

基礎控除額=3,000万円+600万円×相続人の数

仮に、相続人が配偶者と子ども2人なら、3,000万円+600万円×3人=4,800万円となります。

詳しいことは税務の専門家である税理士にご相談ください。