Q.個人事業者の青色申告特別控除額が、令和2年より65万円から55万円に下がると聞きました。ただ、引き続き65万円の控除を受ける方法があるそうですが、どのような要件があるでしょうか。
A.税制改正により、令和2年分以降の所得税について、基礎控除が38万円から48万円に上がるかわりに、65万円の青色申告特別控除が55万円に引き下げられます。ただし、電子帳簿保存またはe-Taxによる電子申告を行うことにより、引き続き65万円の控除を受けることができます。
解説
1.改正の概要
現行では青色申告特別控除65万円、基礎控除38万円だったものが、令和2年より青色申告特別控除55万円、基礎控除48万円(ただし、年間合計所得が2,400万円を超えると、基礎控除は逓減し、2,500万円超で0円になります)に改正されます。そのため、両方を合計すると控除額は改正前後で同じです。ただし、一定の要件を満たした個人事業者は引き続き65万円の青色申告特別控除を受けることができるため、改正前より10万円多く控除を受けることができます。
2.65万円控除を受けるための要件
改正後に青色申告特別控除を受けるための要件は、改正前と同じですが、さらに以下のいずれかの要件を満たすことで、改正後も65万円の控除を受けることができます。
①電子帳簿保存をしている場合
②e-Taxにより電子申告をした場合
通常は②の方法のほうが簡単に行うことができます。以下それぞれについて説明します。
①電子帳簿保存
主として会計ソフトを使用して帳簿を作成し、CDやサーバー等に保存する方法を指しますが、訂正削除履歴の確保等といった要件を満たす必要があります。電子帳簿保存を行う場合には、原則として電子帳簿保存を開始する日の3か月前の日までに税務署に申請書を提出する必要があります。なお令和2年度の確定申告については、令和2年9月29日までに申請を行い、同年中に承認を受ければ、同年中の帳簿を電子保存することで65万円の青色申告特別控除を受けることができます。
②e-Taxによる電子申告
平成31年1月より手続が簡素化され、マイナンバーカード方式と、ID・パスワード方式のいずれかの方法で行うことができます。マイナンバーカード方式では、事前に税務署への申請等は不要ですが、マイナンバーカードと、e-Taxに対応しているICカードリーダーが必要となります。ID・パスワード方式は、マイナンバーカードもカードリーダーも不要ですが、ID・パスワードを入手するために事前に税務署にて対面の本人確認が必要になります。税理士に電子申告してもらっている場合も、当然65万円控除の要件を満たします。
※上記の内容は、平成31年3月31日時点で発表されている改正内容をもとに作成しております。
詳しいことは税務の専門家である税理士にご相談ください。