Q 一人暮らしの父親は郷里で生活をしていますが、この度父親が腰痛のため入院をすることになり、医療費を兄弟2人で均等に負担しましたが、医療費控除の還付申告は出来るのでしょうか?
A 兄弟2人が父と「生計を一にしている 場合は、自己が負担した父親の医療費は、医療費控除の適用を受ける事が出来ます(それぞれが負担した医療費について、それぞれが医療費控除の適用を受ける事が出来ます)。
(1)医療費控除のポイント
医療費を負担した場合、負担をした人と負担をしてもらった人が、生計を一にしていること、親族であることが医療費控除の対象になるのかどうかのポイントとなります。「生計を一にしている」とは、同居しているということではありません。お父様の生活費の大部分が兄弟2人の仕送りによって賄われていれば、「生計を一にしている」と判断されます。
例えば、病院で長期療養中であるとか、大学などに通学するために別居しているとか、または家族と離れて単身赴任であるなどの理由により、各々の生活がバラバラになっていても、余暇には起居を共にすることを常例としている場合や、親族間において常に生活費、療養費、学資金等の送金が行われている場合は「生計を一にしている」ものとされています。
なお、同一家屋に起居していても、明らかに互いに独立した生活を営んでいる場合には、「生計を一にしている」とは、いえないとされています。要するに「同居」「別居」だけでは、「生計を一にしている」の判断が出来ないということになります。
(2)扶養の有無は?
医療費控除については、扶養の有無は問われません。医療費を負担した人と負担してもらった人との間で、扶養関係があるかないか、または「扶養控除」の対象者であるかないかは関係がありません。
しかし、「扶養控除」については、「扶養控除」の条件を満たしていれば、兄弟2人のうち1人だけお父様を扶養親族とし、「扶養控除」の適用を受ける事が出来ます。
(3)「生計を一にしている」判定は、いつ?
「医療費控除」については、医療費の支出があった時点で「生計を一に」していればよいことになっています。
しかし、「扶養控除」の判定日は、その年の12月31日となっています。「医療費控除」と「扶養控除」では、判定基準日が異なっていますので注意が必要です。
(4)支払った医療費とは?
「その年中に実際に支払った」ものだけが、「医療費控除」の対象となります。したがって、12月31日において、未払いとなっているものは、対象になりません。最近では、カード払いの場合もあると思われます。この場合は、医療機関の窓口でカードを掲示して医療費の精算をした時点になります(銀行から引落された時点ではありません)。
詳しいことは、税務の専門家である税理士にご相談ください。