Q. 従業員が出産のため休業し、出産後に育児休業を取ることになりました。雇用保険から受給する育児休業給付金とは別に会社から上乗せで育休手当を支給したいのですが、税務上はどのような取扱いになるのでしょうか?

A. 勤務先から支給される上乗せ支給の育休手当については、労働基準法上の療養補償や休業補償には該当しません。そのため上乗せ支給される育休手当は所得税法に規定する給与所得となり、支払いの際に源泉徴収して、その徴収日の属する月の翌月10日までに、これを納付することになります

解説

1.給与所得とは

給与所得とは、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る所得をいうものであり、残業手当や休日手当、職務手当、家族手当、住宅手当なども該当します(所得税法28①)従業員に対して上記の給与等の支払をする者は、その支払いの際、その給与等について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月10日までに、これを国に納付しなければならないこととなっております(所得税法183①)。

2.育児休業給付金の扱い

育児休業給付金(育休手当)とは、雇用保険に加入している労働者が育児休業中に給与が一定以上支払われなくなった場合、雇用保険から給付される給付金のことで、子どもが1歳(支給対象期間延長要件に該当する場合は1歳6カ月、または2歳)まで受けることができます。育児休業給付金については、雇用保険法に基づいて支給されるものであり、失業等給付に該当することから所得税等は課税されないこととなっています。

3.非課税とされる労働基準法上の補償

労働基準法に規定する災害補償事由が生じた場合に支給される給付のうち、(1)療養補償 (2)休業補償 については、所得税法上非課税所得として取り扱われます(所得税法施行令20①)

 今回ご相談の育児休業中に勤務先から受け取る育休手当は上記3の(1)(2)には該当しません。したがって、所得税法に規定する給与所得として取り扱われます。そのため会社が育児休業給付金に上乗せする育休手当をお支払いの際には、源泉徴収を行った上で翌月10日までにこれを納付しなければならないということになります。

詳しいことは、税務の専門家である税理士にご相談ください。