Q 個人で民泊を始めようと思いますが、所得税や消費税は生じるのでしょうか?
A 個人の場合、所得税や消費税が生じる可能性があります。
【解説】
安倍政権が観光に力を入れ、また、2020年に東京オリンピックが開催されることから、海外からの観光客が増加し、その受け皿として民泊が脚光を浴びています。さらに、この低金利の経済情勢と相まって、副業として民泊サービスを始めようとしている人が増加しています。
さて、ご質問の民泊サービスに対する課税についてですが、所得税や消費税が生じる可能性があります。
1.所得税について
所得税法上、民泊サービスに対する収入は、「不動産所得」、「事業所得」、「雑所得」のいずれかに該当すると考えられます。
サラリーマン(給与所得がある個人)が、民泊サービスを行った場合の収入は、一般的に「雑所得」になると考えられます。ただし、サラリーマンが副業として民泊サービスのみを行っている場合には、一定の条件はありますが、その所得が年間(暦年)で20万円以下であれば申告義務はありません。所得とは、収入から費用(経費)を差し引いたものと考えてください。つまり、副業の収入金額合計が年20万円以下であれば、申告義務はないと考えて良いと思われます。
一方、不動産賃貸を行っている個人が、所有している賃貸用の不動産を活用して、民泊サービスを行った場合の収入は、「不動産所得」になると考えられます。(不動産の転貸)
ただし、空き部屋を貸すだけなら「不動産所得」ですが、民泊サービスに関して食事を提供した場合の収入は、「事業所得」又は「雑所得」になると考えられます。
「不動産所得」、「事業所得」の場合には、赤字は他の所得と損益通算することが可能ですが、「雑所得」の場合には、赤字となっても他の所得と損益通算はできません。
※民泊サービスを提供するために、住宅ローン控除の適用期間中に自宅を賃貸した場合には、住宅ローン控除は使えなくなることもありますので、注意が必要です。(控除金額が減額される場合も含みます)
2.消費税について
消費税法上、住宅の貸付けは非課税とされていますが、次のいずれかの場合は、課税されることとなります。⑴貸付期間が1ヶ月未満の場合、⑵旅館業法第2条第1項に規定する旅館業に係る施設(ホテル営業、旅館営業、簡易宿所営業及び下宿営業)に該当する場合。
法令上の定めはありませんが、住宅(戸建住宅、共同住宅等)の全部又は一部を活用して宿泊サービスを提供することを指して、「民泊サービス」ということが一般的であり(厚生労働省 民泊サービスと旅館業法に関するQ&A Q3)、一般的な民泊サービスは、旅館業法の許可を得る必要があると考えられます。
このことから、民泊の場合は、一般的に旅館業法第2条第1項に規定する簡易宿所とされており、原則として課税対象になるものと考えられます。
民泊サービスは社会ニーズの高まりとともに、今後ますます増加すると考えられます。民泊サービスの収入を適切に把握し、しっかり申告・納税を行いましょう。
詳しいことは、税務の専門家である税理士にご相談ください。