Q.  当社では、節電対策や蛍光灯(管)が製造禁止となることから、事務室内の蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに取り替えることを考えていますが、照明設備本体については特に工事を行わない場合にはその取り替え費用は修繕費として処理して差し支えありませんか。

※取替の概要
① 事務室の蛍光灯100本すべてを蛍光灯型LEDランプに取り替える。
蛍光灯型LEDランプの購入費用10,000円/本、取付工事費1,000円/本
取替えに係る費用総額 1,100,000円
② この取替えに当たっては、建物の天井のピットに装着された照明設備(建物附属設
備)については、特に工事は行われない。

A.  上記記載の事実関係を前提とする限り、資産計上とせずに修繕費として損金算入処理(経費計
上)しても差し支えありません。

解説

1 修繕費と資本的支出

 法人がその有する固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の  
通常の維持管理のため、又は毀損した固定資産につきその原状を回復するために要したと認め
られる部分の金額は、修繕費として支出したときに損金算入(経費計上)が認められます。

一方で法人がその有する固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち、当該固定資
産の価値を高め、又はその耐久性を増すこととなると認められる部分に対応する金額は修繕費
ではなくて資本的支出となります。そして、修繕費になるかどうかの判断は修繕費、改良費な
どの名目によってするのではなく、その実質で判断することになりますが、設備や機械等の部
品を特に品質や性能の高いものに取り替えた場合でその取り替えの金額のうち通常の取り替え
の金額を超える部分の金額は、原則として修繕費にはならずに資本的支出となり資産計上する
ことになります。

2 本件の場合

本件の場合ですが、蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに取り替えることで、節電効果や使用可能
期間などが向上していることで、その有する固定資産の価値を高め、その耐久性を増している
として資本的支出に該当するのではないかとも考えられますが、蛍光灯(又は蛍光灯型LEDラ
ンプ)は、照明設備(建物附属設備)がその効用を発揮するための一つの部品であり、かつ、
その部品の性能が高まったことをもって、建物附属設備として価値等が高まったとまではいえ
ないと考えられますので、修繕費として処理することが相当といえます。
また、蛍光灯をLEDランプへ交換する際の安定器等は新しい設備の導入のため、一見資本的
支出に見えます。しかし、安定器等は照明を安定させるための部品と考えられるため、照明設
備(建物附属設備)の価値が高まるとはみなされず、修繕費として損金算入(経費計上)して
も差し支えありません。

詳しいことは、税の専門家である税理士にご相談ください。
(近畿税理士会姫路支部)https://kinzeihimeji.org