Q. 個人事業主と法人(資本金1億円以下の中小企業)では接待交際費を経費とする際、どのような違いがあるのですか?
A. 個人事業主については、年間の接待交際費の金額に上限はありませんが、その範囲はかなり厳格に定められています。法人については、年間の金額に上限がありますが、その範囲は個人事業主よりも広く認められます。
解説
個人事業主
個人事業主の場合、業務上(仕事をする上で)必要不可欠であれば、交際費として経費に計上することができます。具体的にいうと、事業収入を得るために直接的に必要かどうかで判断されます。つまり事業収入を得るため以外の交際費は経費として計上できません。このように厳格になっている理由は、個人事業主の場合、事業に直接関係ない家事支出との区分があいまいになりやすいためです。
また経費にできる金額については、年間を通しての上限はありません。ただし、事業の内容・事業の規模など総合的に判断して妥当な範囲内であることが必要です。上限がないからと言って、いくらでも経費にできる訳ではありません。
特に、「飲食費」を経費として計上する場合は、
①日時、②場所、③誰と、④いくら
この4点を明確にすることが大切です。領収証等の余白に直接記入しておくか、飲食交際費の一覧表を作成しておくと良いでしょう。
法人
法人の場合、接待交際費の範囲は、取引先などの事業関係者に対する接待、交際、慰安、贈答のための支出とされています。法人の場合、基本的にすべての支出は事業のために行われるものと考えられております。しかし、だからと言って、なんでもかんでも損金に算入できる訳ではありません。
資本金が1憶円以下の中小企業は年間800万円を上限として、法人税の計算上損金に算入することができます。
また、例外として1人あたり5,000円以下の飲食交際費は800万円の上限から除外して計算することができます。
この制度を利用するためには
- 飲食等の年月日
- 飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名等とその関係性
- 参加した人数
- 飲食にかかった金額および飲食店の名前と住所
この4つの情報を領収書に記載するか、別紙で整理しなければなりません。
まとめ
個人事業主、法人のいずれでも事業を行って行く上で、接待交際費に該当するかどうか問題となるケースは多々あります。上記の注意点を参考に「この支出は接待交際費になるのかどうか?」を慎重に判断するにしてください。
詳しいことは税務の専門家である税理士にご相談ください。