Q 以前からあった「従業員に支払う賃金を増やすことによって実現する減税」について拡充されるそうですが、本当でしょうか?中小企業者等への影響はどうなりますか?
A 平成29年度税制改正により、<所得拡大促進税制>が拡充されることになります。 税額控除割合: 現行10% → 改正後:22%
【解説】
現行の<所得拡大促進税制>とは、青色申告書を提出している法人(又は個人事業主)が、以下の全ての要件を満たした場合に、雇用者給与等支給増加額の10%を法人税額(又は所得税額)から控除(税額の20%が上限)できる制度です。
当期の雇用者給与等支給額 - 基準雇用者給与等支給額 | > 3% |
基準雇用者給与等支給額 | |
当期の雇用者給与等支給額 > 前期の雇用者給与等支給額 | |
当期の1人あたり平均給与 > 前期の1人あたり平均給与 |
(当期の雇用者給与等支給額 - 基準雇用者給与等支給額)×10% |
平成29年度税制改正によって、一定の要件を満たせば現行の10%から最大で22%の税額控除が可能になります。
平成29年度4月1日以後に開始する事業年度からは、従来の3要件に加え、以下の追加要件を満たした場合、従来の10%の税額控除額に、雇用者給与等支給額の前事業年度からの増加額の12%の額が加算されます。
当期の1人あたり平均給与 > 前期の1人あたり平均給与 | > 2% |
前期の1人あたり平均給与 |
(当期の雇用者給与等支給額 - 前期の雇用者給与等支給額)×12% |
改正の趣旨としては、従業員に支払った給与が前年と比較して2%以上増えていたら、これまで以上の税額控除を認めようというものです。
~イメージ図~ (注)概観性重視のため、細かい要件は省略しています。
対象となる給与からは、法人の役員や個人事業主の親族への給与は対象外ですので、役員報酬や親族への給与を増額しただけでは適用はありませんのでご留意ください。
また、赤字企業や法人税の納付額が僅少な企業におかれましては、上記規定の恩恵を十分に享受することができません。この点にもご留意ください。
詳しいことは、税務の専門家である税理士にご相談ください。