Q. 私は個人事業を営んでおりますが、コロナ禍により事業資金が枯渇しております。そこでこの度クラウドファンディングによる資金調達を考えておりますが、その税務上の取扱いを教えて下さい。
A. クラウドファンディングの形態により取扱いが異なりますが、「購入型」の場合は事業所得として所得税の対象となり、「寄付型」の場合は資金提供者が個人の場合は贈与税の対象となり、法人の場合は一時所得として所得税の対象となります。
解説
クラウドファンディングとは、資金を調達しようとする人と資金を提供しようとする人をインターネット経由で結び付け、多数の資金提供者から少額ずつ資金を集めるプロジェクトのことを言います。
クラウドファンディングは、資金提供者に対するリターンの形態によって投資型等様々なタイプに分類されますが、以下の「購入型」と「寄付型」がよく使われているようです。
「購入型」・・・資金調達者がプロジェクト実施後に、資金提供者に物やサービスを提供します。
「寄付型」・・・資金調達者が資金提供者から寄付を受けてプロジェクトを実施しますので、物や金銭などのリターンはありません。
税務処理
「購入型」は、物やサービスの提供等と同様の取り扱いになります。集まった資金はすべて売上として計上することとなり、その売上からプロジェクト実施に要した経費を控除した利益が資金調達者に対する所得税の課税対象となります。
「寄付型」は、寄付や贈与といった無償の供与という少し複雑な取り扱いになります。集まった資金は、提供者側が個人か法人かによって取扱いが変わってきます。
寄付型:資金提供者が個人の場合
個人から個人への寄付は贈与になるため、年間110万円の非課税枠を超える調達の場合は資金調達者に贈与税が課税されます。
寄付型:資金提供者が法人の場合
法人から個人への寄付は、一時所得として以下の算式により資金調達者に所得税が課税されます。
一時所得=(総収入金額-その収入を得るために支出した金額-50万円)×1/2
その他留意点として、「購入型」のクラウドファンディングの場合、調達した資金に対して提供する物やサービスの価値が著しく低い場合には「寄付型」とみなされる場合があるなど、事実関係を慎重に見極める必要があります。
詳しいことは税務の専門家である税理士にご相談ください。