Q.  非上場株式等の贈与・相続における納税猶予・免除の制度を活用したいのですが、前もって準備できることは何でしょうか?

A.  国税庁のホームページに適用要件のチェックシートがありますので、確認してみましょう。また適用には贈与税・相続税の申告をする前に都道府県庁から認定書をもらう必要があるため、その準備を整えておくことで円滑に手続きできます。

解説

事業承継税制には特例承継計画が必要な「特例措置」とそれ以外の「一般措置」の二種類がありますが、今回は「一般措置」について説明いたします。

まず適用要件ですが、国税庁HP『法人版事業承継税制』というページにチェックシートがありますのでご確認ください。以下に、最重要と思われる要件を3つ抜粋いたします。(下記以外にも要件がありますので、詳しくは税理士にご相談ください。)

  1.  贈与(相続)前のいずれかの日において、贈与者(被相続人)が会社の代表権を有していたことがあり、贈与時(相続後)に、後継者が会社の代表権を有する。
  2.  贈与(相続)直前に、贈与者(被相続人)が筆頭株主であり、かつ、贈与者(被相続人)及びその親族・被扶養者・使用人等が当該会社の総議決権の過半数を保有しており、贈与(相続)後においても、後継者が筆頭株主であり、かつ、後継者及びその親族・被扶養者・使用人等が当該会社の総議決権の過半数を保有すること。
  3.  贈与時(相続開始時)に、後継者が(贈与の場合は継続して3年以上)当該会社の役員であること。

実際に適用を受けるためには、あらかじめ都道府県庁に認定を受け、その認定書の写しを贈与税・相続税の申告書に添付しなければなりません。マニュアルや必要書類は中小企業庁HPの『事業承継税制(一般措置)の前提となる認定』のページからダウンロードできます。

この認定を受けるために提出が必要な書類のうちには、申告の際にも提出が求められる資料も含まれており、以下のものは事前に準備しておくと手続きが円滑に進みます。

(1)株主名簿(の写し) 

株主名簿の一例は下記の表になります。下記をエクセルなどで作成したものに原本証明を付けて提出します。原本証明は先述の中小企業庁のマニュアルに記載の作成例に倣い、ワードなどで作成します。

氏名住所持株数議決権数議決権割合備考
1田中 一郎○○市✕✕町……3,000株300個30.0%
2田中 二朗○○市✕✕町……2,000株200個20.0%
3田中 三郎△△市◇◇町……1,000株100個10.0%

総計10,000株1,000個100.0%総議決権数:1,000個

(2)定款(の写し)

新しく作成する必要がある場合には行政書士、司法書士などの専門家に相談してみてください。

(3)その他

固定資産税納税通知書や健康保険・厚生年金保険の各種通知書などは整理・保存しておきましょう。
提出の際には連絡先のアドレスも添付し、作成したワードやエクセルはDLしたマニュアルと併せて一つのフォルダに整理・保存しておくと便利です。

詳しいことは、税の専門家である税理士にご相談ください。